いろいろチャレンジした開業

内田クリニック(寝屋川市)
内田 和宏

  私が父の医院を継承して開業してから3年3ヶ月たちました。私の開業前は、父が寝屋川市萱島で耳鼻咽喉科として約40年間開業医として地域医療をおこなっておりました。2004年2月父が肺癌となり診療所を閉じて治療に専念しておりましたが同年末に永眠しております。

そのようなこともあって、開業当初は当院が耳鼻咽喉科だと思って来られる方も多かったです。私の専門は呼吸器内科であったので鼻やのどは一部重なる部分がありますが、耳などは難しく、診療をお断りしなければならず、悔しい思いをしたこともありました。初めは患者数も少なく、耳鼻咽喉科を専門にしていたら開業もすぐに軌道に乗ることができたのになあと後悔することもありました。また、子供が来ることが多く、小児科のトレーニングを受けていなかったので、対応できなかったこともありました。

開業医は、幅広く色々なことに対応できる知識が必要であることを感じ、耳鼻咽喉科や小児科、内科、皮膚科などの勉強会に積極的に参加しました。

また、医院の診療について認知していただくために、チラシ、パンフレット配布や駅看板をするとともにホームページを自作しました。ホームページを自作するのは手間と時間がかかりますがcost performanceがよく非常によかったと思っています。

勤務医時代には、禁煙外来をしたことはなかったのですが、開業してから高橋裕子先生(奈良女子大)の講習会を受けて何冊か禁煙の本を読んで禁煙外来を開始しました。初めは細々としていましたが、2006年4月禁煙外来が保険適応になり、同年6月ニコチンパッチが薬価収載されてから禁煙外来患者が急増し、日本でもおそらく有数の禁煙外来となりました。当院の禁煙外来患者について色々解析し、学会に発表、日本呼吸器疾患学会雑誌にも報告しました。また、2007年5月30日には「おはよう朝日です。」(テレビ朝日)で当院の禁煙外来が紹介されました。

診療報酬改定、特定健診など医療制度はどんどん変化していきます。最近は必要な医療までも削減する改悪が目立っており、医療をとりまく環境も厳しくなっております。そのような中、一人ひとりの患者を大切にし、医療の変化にも対応できるようモチベーションを保っていきたいです。そして、理不尽な医療改悪に対しては、怒りのエネルギーを保険医協会で適切に医療改善運動につなげたいと考えています。

[勤務医ニュースNo. 84:2008年6月15日号に掲載]