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[コラム]
勤務医に役立つ医薬情報
第2回 健康サポート薬局とはどんな薬局?
第2回目は、昨年10月から届出が始まりました「健康サポート薬局」についてご紹介します。薬局は、①医薬品販売(要指導医薬品等(OTC)、医療機関や薬局間での医薬品の譲渡)、②処方箋調剤、③医薬品製造(薬局製造販売医薬品:薬局製剤)の三大業務があり、それぞれ薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律:旧薬事法)や薬剤師法で規定されています。2016年4月1日に薬機法が改正され、「かかりつけ機能」と「健康サポート機能」の実績が1年間以上ある薬局が厚労省の基準に適合している場合、薬局開設の変更届を出すことで、健康サポート薬局を名乗ることができるようになりました。しかし、健康サポート薬局に従事する薬剤師の研修準備のために、実際の届出開始は10月からとなりました。2017年7月末現在で435薬局(全国の約58,000薬局の約0.6%)と始まったばかりです。ちなみに大阪府は43薬局と都道府県別では全国1位と頑張っています。出足が遅い理由は届出のための要件が一定厳しいことと、現時点では薬局・薬剤師の技術料(調剤報酬)とは直接リンクしていないことが推察されています。しかし、厚労省は地域包括ケアシステムが本格的に始まる2025年までには、全国で1~1.5万薬局(概ね中学校区に1薬局)は整備したい考えです。
健康サポート薬局が法律で位置づけられた経緯は、残念ながら薬剤師側からの要望ではありませんでした。そもそも発端は2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」にあると言われています。閣議決定された文章には、「薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談・情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する。」と記されています。この背景には、国民が安易に医療機関を受診せず、もっと薬局を活用することで高騰する医療費を抑制させる意図が見え隠れします。これは今年1月から始まったセルフメディケーション税制も同様です。私たちは、こうした政府・厚労省の狙いをきちんと押さえながらも、薬局として本来地域に果たすべき役割としての「かかりつけ薬局・薬剤師」機能と、「健康サポート」機能を高める必要があると考えています。
健康サポート薬局は従来の薬局と何が異なるのでしょうか? 通常、薬局を開設するにあたっては、薬機法で規定される薬局の構造・設備(ハード)の基準に合致することが求められます。健康サポート薬局では、医薬品の販売や調剤ができる場所としての従来の薬局の機能に加えて、「かかりつけ機能」と「健康サポート機能」という薬局・薬剤師のソフト面が新たに法律で規定されることとなりました。厚労省がめざす薬局のあるべき姿の基本には、「かかりつけ薬剤師・薬局」があります。これは、薬局が地域におけて医療機関等との連携の上に立って、患者の服薬情報の一元的・継続的把握と24時間対応・在宅対応ができる薬局です。健康サポート薬局では、それらの機能に加えて国民の病気の予防や健康サポートに貢献することが求められています。具体的には、OTCを適切に選択できるような供給機能や助言の体制と、健康相談受付・受診勧奨・関係機関への紹介が行えることです。一方、かかりつけ薬剤師・薬局機能は、いわば処方箋調剤に対応できるものですが、健康サポート機能は、健康な地域住民や未病対策など、普段は薬局を利用されない方々をも対象にしていることがポイントです。今回、新たにソフト面での基準が設けられたことから、新規に開設する薬局では同時に健康サポート薬局を届けることができず、在宅訪問や健康サポート機能などについて、1年間の実績が必要となっています。
筆者が所属している法人の拠点薬局である、あおぞら薬局(大阪市西淀川区野里)は、昨年10月3日に届出を行い、大阪府下で第1号の健康サポート薬局となり、9月には、あおぞら薬局淡路店(大阪市東淀川区西淡路)も適合を受けました。大阪府下では未だ43薬局ほどしかありませんが、地域包括ケア時代に向けた社会リソースとしての期待も高く、今後の広がりと取り組みが注目されています。

(勤務医LETTER No.136 2017年9月)