入会方法FV画像

広報誌・コラム
Public relations Magazine

勤務医に役立つ医薬情報

第1回 国民・患者の立場に立った医薬分業について

この度ご縁があり『勤務医LETTER』に執筆させていただくことになりました、一般社団法人大阪ファルマプランの廣田憲威と申します。当法人は、巷の営利目的の大手薬局チェーンとは異なり、「医療は非営利、だから保険調剤も非営利」を経営理念とし、「非営利・協同」「無差別・平等」の立場で取り組んでいる民医連の薬局法人です。1990年11月に西淀病院(大阪市西淀川区)の医薬分業を皮切りに、現在では大阪民医連の医療機関とタイアップして12薬局と1福祉用具レンタルを運営しています。これから薬剤師の視点で「勤務医に役立つ医薬情報」と題して情報提供させていただきますので、お付き合いのほど宜しくお願い申し上げます。

 

第1回目は「国民・患者の立場に立った医薬分業について」です。

医薬分業の歴史はすでにご存じのように、神聖ローマ帝国のフリードリッヒⅡ世(1194~1250年)が毒殺を怖れて、主治医が処方した薬を別の者(薬剤師)にチェックさせ、併せて医師が薬局を持つことも法律で禁止したことが始まりとされています。しかし、東洋ではこうした文化は無く、わが国では明治時代になるまで、医師と薬剤師の職能を兼務する「薬師(くすし)」が医療を担っていました。近代日本になり欧州から様々な制度が導入される中で薬剤師の確立と、社会システムとしての医薬分業も導入されました。

薬剤師の本来的な職能は、患者のために医師の処方を「監査」し、そのことで安全かつ有効な薬物療法を保障することにあります。広辞苑によれば、「監査」とは、「①監督し検査すること、②企業などの特定の行為、またはその行為を示す情報が適正か否かを第三者が検証し報告すること。会計監査など。」と解説されています。

また、多くの医療職種の中で、憲法25条の2の「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の「公衆衛生の向上及び増進」が規定されている職種は、医師と薬剤師のみです。これは、国家が憲法25条を具現化するために医師と薬剤師の業務を法的に位置付けた点で重要な意味があると考えています。この観点から医師と薬剤師の業務分担を考えてみますと、医師は的確な診断の下で薬物療法(処方)を決定され、その後の治療経過を観察されます。一方、薬剤師は、医薬品のプロとして、処方された医薬品の服薬支援、相互作用、副作用の発現の有無などの薬学的視点からの管理を継続的に行い、医師と共に安全で有効な薬物療法をすすめる責務があります。すなわち医師と薬剤師が協働することによって、公衆衛生の向上および増進に寄与し、国民の健康な生活を確保することができるのです。これは、院内調剤であろうが院外処方箋であろうが、薬物療法において医師と薬剤師による医薬協業が重要であることを意味しています。「監査」の意味は、決して薬剤師が医師をチェックするという意味ではなく、医師自らが「自己監査」するというリスクを軽減するためのものであり、患者のためなのです。

筆者はかねてから、「国民・患者に供給される全ての医薬品は薬剤師の手から」を信条にしています。このことが実現できれば、院内調剤においても医薬協業は可能かと考えています。しかし、患者が複数の医療機関に受診され、それぞれで処方が出された場合の医薬品の相互作用や同種同効薬の重複処方のチェックは、医師同士では困難な場合も少なくなく、患者が「かかりつけ薬局」を持つことによって解決できるのではないでしょうか。すなわち、医師の処方権と薬剤師の調剤権が対等に両立することによる「医薬協業」と、社会システムとしての「医薬分業」(処方箋発行と医薬品供給(調剤)の物理的な独立)が真に確立されることによって、医薬品による健康被害から国民・患者を守ることができるものと確信しています。

 

(勤務医LETTER No.135 2017年6月)

ポスト