「なんくるないさー」と考えながら

腎・泌尿器科 安本クリニック(西成区)
安本 亮二

 開業するなら団塊の世代の定年の前にと決心し、平成18年4月ころから開業の準備と物件を探し始めました。すぐに、南海・地下鉄天下茶屋駅南となりの高架下にテナント物件がでたので契約、平成19年3月に開業いたしました。

開業当初は1日の時間をもてあまし、特に風雨などの悪天候ならほぼ絶望的。シエスタ(Siesta)をするかパソコンでニュースや文献の検索でもしなければ時間がつぶせませんでした。でも、逆にこの空き時間を利用して、今まで行えなかった医学書や単行本を読んだり、他領域の研究会に積極的参加することができました。しかし、開業初年度は、本来の泌尿器科の学会には診療時間のため平日参加はできませんでした。

開業後1年経つと、ほぼ日常生活は一定になってきました。朝8時にクリニックのシャッターを開け、電子カルテ・レセシステムであるダイナミクスのあるパソコンを立ち上げ、昨日の診療所見を点検して記載。そうこうしているうちに患者さんが「すこし早いけど…」と入って来られます。このシステムでは診察から会計まで自分自身で簡単にできるので、職員さんが来なくても、「どうぞ、お入りください」と言って診療を開始いたします。便利なシステムで非常に満足しています。これなら、新型インフルエンザなどで職員さんに休まられても頑張れるかな! 「なんくるないさー」、と考えています。

お昼には午前中の診療内容のバックアップを行い、つり銭の状態を確認。必要なら昼食を兼ねて換金に天下茶屋周辺から難波や梅田周辺まで散策に行きます。午後は15時にオープンし外来診療。18時30分の鐘が鳴るとすぐシャッターを閉めてしまいます。そして午前と同様、診療内容のバックアップを作成し、ママチャリ自転車で帰宅。

このような状態を続けてはや2年半。なんとか昨年から夏期休暇も1週間とれるようになりました。今後の夢は平日の学会にも参加したり、春季休暇を取り海外視察でも行ければいいな…と考えています。70歳を開業医終了時期と考えると残り4380日、75歳をその時期と考えると、あと6205日です。その間、どんな事が起こるのか、「なんくるないさー」の精神で開業医をやっていきたいと考えています。

[勤務医ニュースNo. 92:2009年12月15日号に掲載]