自分の為の、自分の、自分でする、開業道

しんたに内科クリニック(堺市・内科)
新谷 真知子

 土地勘のない堺市で開業し1年経ちました。当直のストレスからは解放されましたが、実際それ以上に、試練があり、勤務医時代のように、上司や院長に相談して助けてもらうことはできません。自分が院長ですから。

最初に感じた辛さは、職員との間の取り方でした。長かった勤務医時代、看護師、事務職、検査技師、色んな友達がいました。うちのクリニックで働いてもらう事務員や看護師は友達ではないと、わかっていても、接し方が分からず、従業員に気を遣い過ぎて周りから注意を受けました。1年経って段々院長として彼女達に振舞えるようになりました。

次のストレスは、施工業者に対してでした。開業半年経たないうちに、あちこちの床が凸凹になり、担当者に連絡したら、気にしすぎであるとか、大家さんのせいだとか、色々と御託を並べ、誠意のある対応を全くせず、弁護士を立てました。その途端態度を豹変させましたが、未だ社長は謝罪せずさらに、GWに24時間通して4日間中、修復工事すると言い出し、マンションの住人の方に迷惑がかかると反対しても私の弁護士に泣き付いて話を進めてしまいました。これまでの私でしたら、愚痴るだけでしたが、業者に、24時間工事中電気や、水道は使用許可しないと言えましたし、断固とした態度もとれるようになりました。

日頃はややこしい患者さんのストレスもあります。こちらも自分が対処しなければなりませんが、幸い色んな病院に出向できて場数を踏んで慣れてきました。それでも、誰か代わりに対応してくれないかなあと逃げたくなりますが、真正面から向き合って、ちゃんと対応したら、自分も納得できるようになり、さらに経験として積めました。事務員に頼り切らないで済むために今は医療事務の勉強をし、今後は、税理士に任せきりにしないように簿記も学びたいですが、夢のまた夢です。でも叶えたいと思います。

[勤務医ニュースNo. 89:2009年6月15日号に掲載]