決定権をもつことと責任の重さと
さだ内科クリニック
佐田 玲子
開業医になって一番 感じたことは、ほぼすべてにおいて「自分が決定権を持つ」ということです。
開業場所に始まって、内装、設備、標榜科、診療曜日、診療時間、休診日、採用薬、採用器具、取引業者、従業員などあらゆることをすべて自分で決めることができます。開業地の医師会によっては標榜科や診療時間に制限が付けられるところもありますが、その医師会さえ入会するかどうかの決定権は自分にあります。
健診をするか、往診や在宅医療をするか、結核患者を診るか、生活保護者を診るか、予防接種をするかなど、すべて自分で決めることができます。
しかし、開業医になると医院経営を考えなければいけません。そのためにはいろいろなことを決めるのに選別したり、交渉をしたり、調査をしたりしなければいけません。これが大変です。
また、すべての決定権があるということは、誰も何も決めてくれないということで、自分が決定しないと診断書の書式でさえ決まりません。自費の予防接種の値段や健康診断の費用など、勤務医の頃に決まっていると思っていた事柄が、病院独自の決定であったということがたくさんありました。
そして決定したことはすべて自分に責任があります。診療の責任は元より従業員の行動・言動にも責任を持たないといけませんし、医院経営の責任もすべて自分にあります。
日々いろんな決定を下して、その結果を確認して、自分のやっている医療が正しかったかどうか問い続ける毎日が、楽しめる間はやっていけるかなあと思っています。
[勤務医ニュースNo. 80:2007年11月15日号に掲載]