『連携』で地域医療を守りたい

サギス中クリニック(福島区)・内科
塚本 雅子

 開業して1年半が過ぎました。大学病院の同期が講師、助教授になっていく中、結婚、出産、育児と、家庭と仕事を両立させる為に、非常勤、嘱託の道を選びました。そんな時、地元の知り合い(開業医)から、継承の話をいただき、地元の内科非常勤も辞めたところだったので引き受けることになりました。保険医協会、協同組合に駆け込み寺のように相談を持ちかけたことが思い出されます。

開業準備は壮絶なもので、書類整理、申請、資金調達、いろいろな業者との打ち合わせ、スタッフ確保と、継承する前医の要望を取り入れながら、目の回るような忙しさでした。

母の代わりはいないので、子どもに気持ちだけは向ける時間を持ちました。いつも、早く患者さんと話がしたい、診療がしたいと思っていました。

診療が始まると保険点数、保険請求、レセコンの扱い方、薬の棚卸、薬品・物品の発注、院外処方と院内処方、薬品の金額、雇用管理、税務管理と何もかもが初めてのことで、誰かが代わりにやってくれるはずもなく、皆に助けてもらいながら現在に至っております。でも、日々、患者さんの診療ができる喜びを感じています。

新薬の説明に来るMRさんの話や専門医に教えてもらいに行ったりして耳学問をし、学術講演会には極力参加して、本を読まなくてもその場で理解するようにしています。

かかりつけ医として、患者さんのことを考えると介護保険の知識や、ケアマネとの係わりは必要ですし、病診、診診連携も必要です。必要に迫られて走り回っているうちに、顔の見える連携をこの福島区でできればなあと考えるようになりました。それを地区医師会の先生方に呼びかけている途中です。

また福島区の女性A 会員に呼びかけて、「女性談話会」と称して色々な話をする場を設けています。他科診療、経営、警備上のこと、子育ての話もできて各々の先生方の憩いの場になっているとのご意見を頂き、うれしく思っています。

子どもの学校のPTAの委員としての活動が、子どものための時間と考えて参加しています。

明るく元気な慢性疾患の患者さんに励まされながら、将来は自分も入れる老人ホームを作ることができたらと考えています。

[勤務医ニュースNo. 78:2007年6月15日号に掲載]