患者とともに
守口市 小児科・アレルギー科
高井 建司
平成16年1月に開業し、約2年半が経ちました。開業しょうかと考えたのは5年くらい前で、それまでは自分とは関係の無いこととして、あまり考えることもありませんでした。開業を考えるようになったきっかけは、新生児集中治療室でハイリスクベビーの治療をたくさん行い、結果として助けた障害のあるベビーの定期健診をしたことでした。何年も継続して定期的に、ベビーのご両親と検診でお話を聞かせていただく機会に恵まれたことによって、障害を乗り越えるためにどれほどの努力を要するのかということを気付かされました。障害は24時間、一生続くことを考えたときに、その事実と向き合っているご両親の強さ、年月とともに強くなっていかれる姿を目の当たりに見て、集中治療室にいつまでも篭っていていいのかと考えるようになりました。
集中治療という急性期を乗り越えなければ、その後は続かないので、その重要性は理解しているのですが、障害児をかかえた親にとって、行政は決して優しくないと、何度も感じたときに、開業しようと考えるようになりました。
開業してすぐから当院では、一般外来とは別に、障害児を対象として言語療法、心理療法を言語聴覚士、心理療法士によっておこないます。一般外来においても、喘息等の慢性疾患の児童にとっても、長期の治療を受けることは経済的に負担が多くなることから、短期の吸入器の無料貸出しをおこなっています。現在おこなっていることが、ベストとは思っていないので、来られている子どもやご両親とともに、障害児、健常児に関係なく、その子なりの発達の手助けができる病院になれるように、また機会があれば、行政にも手助けしてくれるように、働きかけたいと考えています。
[勤務医ニュースNo. 73:2006年6月15日号に掲載]