“狭さ”が親切さ”につながる糖尿病クリニックでありたい

枚方市 磯谷内科
磯谷 治彦

  開業して1年4ヶ月が過ぎた。あっという間の1年だった。二十数年の勤務医生活の中で、大学病院での勤務を最後に開業したため、最も大きな組織から個人の診療所へと仕事の場は一変した。

診療所が病院と最も違うところは、その“狭さ”であり、それが“親切さ”につながるようでありたい、という想いを開業当初に掲げた。

個人情報保護法案の施行も決まり、プライバシーへの配慮が今以上に求められるが、小さな診療所での小回りの効く良さは、失うべきではないと思う。

果たして来院していただいている患者さんの皆様は、どの程度満足されているだろうか。前向きに改善していく必要があると思っている。  当院は、糖尿病・甲状腺専門クリニックとして開業したが、“身近な専門医”として、お役に立てればと思っている。看護師、管理栄養士、事務職員と一緒に、チーム医療を実践していくには、小さなクリニックは良い点が多い。

診療の流れの中で、栄養相談や外来インスリン導入も可能である。また、予約制を原則にしているが、何かあればいつでも来院していただき、対応する事も出来る。そうは言っても、診療の質の確保や、待ち時間の短縮など、先に述べた満足度については、今後の大きな課題である。

一方、病診連携が上手く機能している事が必要であるが、幸い当院は近隣の基幹病院との連携が取れていると思う。糖尿病学会や全国規模の会から地域の研究会、コメディカルの会、そして自院の患者会(オレンジの会)まで、糖尿病という分野は活動の幅が非常に広い。時間を都合して、様々な活動に参加することで、刺激とエネルギーをもらえるのは有り難い事だし、実に楽しいものである。

最近になってホームページを作成した。各スタッフに思っている事を書いてもらった所、皆それぞれにやりがいを持って、仕事に取り組んでくれている事がわかり、ほっとすると同時に嬉しくなった。まだまだ医院作りはこれからだが、診療とは別に、自分の時間を上手く作る工夫と、運動不足を解消する工夫も考えなくてはと思っている。

[勤務医ニュースNo. 66:2005年3月25日号に掲載]