コロナ療養を経て開業しました

2022年4月に大阪市中央区松屋町で開業しました三宅泰裕と申します。1993年に大学卒業後、消化器外科での勤務医をしておりましたが、2010年ごろより緩和医療に携わり、2017年より在
宅診療を行う先生方の会に参加するようになりました。

少子高齢化が進み、外来医療・地域医療・入院医療の体制に基づく地域包括ケアシステムを厚労省が唱える中で、在宅医療に対する役割が大きくなっていると感じ、住み慣れた地域で暮らす住民の地域医療の力になりたいと思い、在宅医療にかかわっておられる開業医の先生方と交流する中で、在宅医療に携わることをより具体的に考えるようになりました。

救急も含めた種々の処置はある程度できると思っておりましたが、多くの新薬を用いた内科治療について改めて勉強しました。新型コロナ感染症のため、会場での勉強会、研修会は減少しましたが、一方でインターネットを介した多数の勉強会が開催されるようになり、学会会場に出向かなくても最新の知識を得ることが可能になりました。内科は多岐に細分化されており、すべての分野を専門家レベルで対応するのは困難と考えておりましたが、WEB開催の勉強会から多くを学び、プライマリーケアについては、各分野で対応することはなんとかできるのではないかと考えました。

さて、大阪市中央区で開業しておられた旧笹岡クリニック院長の笹岡先生主催の勉強会『なにわドクターズネットワーク』に数年ほど前から参加しておりましたが、2022年春に笹岡先生が故郷の高知県室戸市立有床診療所の院長として就任されることになり、クリニックの患者様を引き継ぎ、『松屋町みやけクリニック』として診させていただくこととなりました。この地域はわたしの出身高校に近く、付近を自転車でよく出向いていた場所ですので、開業して改めて懐かしい気持ちでした。

しかし実際に開業すると、銀行との面接や、スタッフの募集、電子カルテ導入、機器の購入、ホームページ作成、看板作成など、経済的なことや手続きが大変でした。

さらに、2022年4月1日開業を目標に順調に準備をすすめておりましたが、3月初旬に新型コロナに私自身か罹患し、自宅療養を10日間送ることとなりました。私自身が動けるようになったのは開業の約10日前と、混とんとした中で開業することとなりましたが、支援くださる皆様のおかげで、順調なスタートをきることができました。また、クリニックの近隣には多数の全国有数の総合病院があり、いつもスムーズに紹介を受けていただき、大変感謝しております。

当院では新型コロナ感染症対策として発熱外来を6月末から開始し、大阪府の支援を受けPCR を10月に導入しました。経済が優先されている現在の日本社会では、今後インフルエンザと新型コロナ感染症の同時流行が危ぶまれていますので、院内感染に注意しながら慎重に発熱外来をおこなっています。同時にオンライン診療も開始し、多忙で来院できない患者様だけでなく、コロナ陽性患者に対しての治療についても進めています。また、在宅医療については少しずつ患者様を診るようにしています。

まだ、開業して半年ですが、様々なトラブルも楽しんで、乗り越えながら、自身がやりたい医療を自分の責任でどんどん進めていけることに喜びを感じています。今後とも地域医療にすこしでもお役に立てればうれしいと思っております。