医院経営と患者満足度とのバランス

 医院経営を考える上で重要な事はキャッシュフローを見通すことです。キャッシュフローとは資金繰りのことであり、利益とは異なります。その違いの原因は医業未収金と設備投資や在庫です。未収金とは入金されていない売上代金のことで、保険収入の場合入金まで最長約3ヶ月の時間差が生じます。設備投資として高額な医療機器などを購入した場合、一旦資産として計上した上で毎年減価償却の形で分割して経費化されますが、代金は支払い済になっています。また、医薬品等の在庫も支払い済です。その違いを分かっていないと資金繰りがうまくいかなくなって経営が行き詰ってしまうことがあります。
 医院経営を良くするためには収入を増やすか支出を減らすかしないといけません。収入を増やすためには、患者数を増やしたり在宅診療を始めたり、あるいは自費診療を増やしたりしないといけません。
 患者が医療機関を選ぶ際に参考とするのは、ホームページ・家族や知人の評判・検索サイトが上位にきます。ホームページを充実させたり、検索サイトで上位にくるように業者に委託する方法がありますが、それなりのコストがかかります。自分でホームページを更新したり、ブログやSNSを充実させることができれば、コストをかけずに検索サイトで上位になるようです。
 逆に不快な思いをした内容は、医師やスタッフの態度や対応の悪さ・待ち時間の長さ・駐車場がなかったこと等が挙げられます。すべての不満に対して改善策を取るのは困難です。待ち時間に対する不満に対しては予約システムの導入やWi-Fi環境の構築・TVや雑誌等の設置が改善策になります。また、こういった対策は直接患者の目に入りますので、口コミが良くなる可能性もあります。
 支出には家賃や人件費等の固定費と医薬品や消耗品等の変動費があります。固定費の削減は困難ですが、無駄な残業をなくして人件費を減らしたり、広告費を見直したりすることで少しでも削減することが可能です。また、変動費については納入医薬品の価格の見直し、光熱費の見直しで経費の節約に繋がります。
 最後に医院の法人化があります。会計士や税理士が勧めてくることが多いですが、メリットもあれば、デメリットもあります。法人化をする前に必ずシミレーションをして、自院にとってメリットがあることを確認してから法人化するようにしてください。
 支出を削減しようとしすぎると患者満足度が下がってしまいますので、注意が必要です。