糖尿病専門クリニック開設3年を振り返り

(収入は減っても環境や人に恵まれ幸せな日々)

なかじま糖尿病内科(東淀川区)
院長 中島芳樹

 2012年5月7日に大阪市東淀川区に開業し、早3年になろうとしております。病院にも負けない糖尿病クリニックを目標に血液検査の至急報告を行っております。前職より多くの患者さんに継続通院して頂いておりますが、開業医でも一般生化学検査やHbA1cなどの当日迅速報告を多くの患者さんは求めますし、お互いにとってメリットとなります。

 また、腹部・頚動脈エコー、脈波伝達速度(PWV・ABI・TBI)などの生理機能検査を実施しております。そのため、初期設備投資や人件費(秘書・臨床検査技師も雇用)もかさみ、収入に関しては勤務医時代より減っておりますが、無駄遣いもしなくなりましたし、大好きなお酒も控えるようになった(?)と思います。お金のこともしっかりと勉強するようになりましたし、勤務医時代と比べてもその点は十分に成長できたと思います。

 女性中心の職場であり、何かとスタッフ同士のトラブルが続いていた時期もございましたが、病院勤務医時代に意気投合した医療秘書が産休より復帰してからはようやく安定してきております。小生にも他のスタッフにも攻撃的なモンスター看護師には難渋しましたが、顧問税理士や保険医協会にも相談に乗って頂き、無事に乗り越えることができました。

充実した「医者らしい」生活

 勤務医時代には臨床以外の雑務も多く、常に時間に追われる日々でした。ほぼ毎日外来をしており、3分間診療を行いながら病棟患者も多数抱えておりました。外来診療中にも関わらず病棟看護師から遠慮のない(時には無礼な)電話に辟易し、中堅にも関わらず部下もおらず、とても定年まで続ける気にはなりませんでした(精神的にも肉体的にも)。

 そのような環境から抜け出し、自分の理想を求めた診療(糖尿病専門クリニック)を開設したわけですが、以前と比べ自分の時間も増え、精神的な余裕も生まれております。論文・雑誌を読み、研究会や学会への参加する機会も大幅に増えております。専門医としては新しい知識の習得は生き残るためにも大切ですし、有意義な日々を過ごしております。

 最近の頭を悩ませる点は増患対策(あと1日5人は増えて欲しい)、電子カルテ対策(非常に使いにくい)、製薬会社MR訪問対策(迷惑なMRも多い)など。しかし、総合的には開業により「医者らしい」「人間らしい」生活を送れるようになりました。周囲(スタッフ・税理士・医師会・保険医協会)に恵まれた結果であり、非常に感謝しております。

[勤務医ニュースNo. 123:2015年2月25日号に掲載]