一般病棟の「180日超」患者の取り扱い

前回の続編として、『180日超』患者について、見ていくことにします。

『90日超-特定患者』の場合は、自院または自院と特別の関係にある医療機関の「一般病棟入院基本料等を算定する病棟に入院している患者」の入院期間を“通算する”規定でした。これに対し、『180日超』に関しては、同一の傷病で一般病棟等に入院している期間を、自院、他院を問わず“通算”することになります。

通算される「一般病棟等」は、@一般病棟入院基本料、A特定機能病院(一般病棟)入院基本料、B専門病院入院基本料-を算定する病棟が対象となります。自院、他院を問わず、これらの病棟に入院した場合は入院期間を通算し、最初に入院して181日目からは「保険外併用療養費(選定療養)」の対象になり、入院基本料の85%しか給付されないことになります。

「180日超」患者の入院基本料

上記の方法に照らして「180日」を超えた入院患者の入院料の取り扱いについてみていきます。

180日を超えて入院すると、181日目から「保険外併用療養費」の『選定療養』となります。すなわち、入院基本料の15%を減額した、残りの85%が『選定療養費』として保険給付をされることになります。この場合の減額されるのは「入院基本料」であり、初期加算や入院基本料等加算は減額の対象になりません。

減額した15%については、患者から徴収することが認められます。ただし、その場合、@差額料金や提供される内容等を院内の見やすいところに掲示するとともに、A患者に対し説明をし、患者が理解した上で同意を得る必要があります。また、B近畿厚生局長に対し、毎年7月1日現在に状況を報告する必要があります。

退院に備えての「試験外泊」など、まれに外泊を認める患者があります。180日超患者の外泊中の入院基本料は、“入院基本料の15%を算定する”規定になっているため、180日超患者の場合の外泊日に係る入院料は診療報酬上は算定しないことになります。

180日超入院の対象外患者

90日超の『特定患者』と同じように、難病患者等入院診療加算を算定する患者や悪性新生物に対する腫瘍用薬を投与している状態など『厚生労働大臣の定める状態』にある患者については、一般病棟等通算対象病棟で、通算して180日を超えて入院しても、入院基本料の15%を減額しないで100%保険給付されることになります。(特定患者の場合の除外対象患者の状態と微妙に異なるので、注意が必要です)

また、“急性増悪”で、通算対象病棟または介護療養病棟等から一般病棟に転棟させて場合、転棟した日から30日間は選定療養の対象外となり、入院基本料の100%が保険給付されることになります。

「180日」通算の方法

入院期間の通算について、いくつかのポイントがあります。

基本は、同じ保険医療機関に継続して入院している場合はもちろん、『同一傷病』での他院からの転院または自院・他院を問わず退院後再入院でも入院期間を通算することになります。

ただし、次のような場合は通算しなくても良いことになります。

  1. 「寛解」または「治癒」の状態で退院した後、再入院の場合は通算しなくても良いことになります。
  2. 先に退院した傷病と異なる傷病で再入院した場合も、通算しなくてもよいことになります。
  3. 退院後、3ヶ月以上にわたって自院または他院入院しなかった場合。
  4. 3ヶ月以上、自院または他院の介護療養病床など介護施設に入院していた場合。

1~4の場合は、先の入院起算日をリセットし、再入院をした日を新たに起算日として180日の通算をしていきます。例えば、高血圧が重症化し、4月1日から通算対象病棟に入院・加療し、寛解して5月31日に退院。外来通院で療養していたが、10月1日高血圧が増悪したため再入院した場合、3ヶ月以上の「入院しない期間」があるため10月1日が新たな180日通算起算日となります。

次の場合は、入院起算日のリセットではなく180日の通算を停止することになります。

  1. 自院または他院への入院していない期間が3ヶ月以内の場合。
  2. 3ヶ月以内の期間、介護施設に入院していた場合。
  3. 3ヶ月以下・以上にかかわらず、通算対象とならない入院料を算定している病棟に入院している期間。

5~7の場合、最初に入院した日を起算日として、D~Fの期間を飛ばして再入院をした日から通算していきます。例えば、9月1日から9月30日までの30日間通算対象病棟に入院、10月1日から10月10日まで療養病床に転棟、その後病状が増悪したため再び10月11日から通算対象病棟に転棟した場合、10月11日は31日目となります。

入院期間の確認

紹介したように、全年齢患者について自院、他院を問わず、一般病棟等通算対象病棟に通算して180日を超えて入院した場合が対象となります。

保険医療機関は入院に際して、過去3ヶ月の入院の有無や入院の理由、選定療養に該当するかなどを確認すること、とされており「入院期間の確認」を怠ると入院基本料が算定できないことになっています。したがって、他院での入院履歴が必要になってきます。このため、退院に際して『退院証明書』の発行が求められます。これにより、今回入院が退院から3ヶ月を超えているのか、入院すべき病名が同じなのかなどを確認することができます。退院証明書の発行は、「義務」ではありませんが、入院期間の確認が「入院基本料算定」基本要件の一つとして挙げられているため、入院医療機関相互に関連していることから、全て患者の退院に際しては発行したいものです。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 104:2011年12月15日号に掲載]