適時調査について

 このシリーズは、審査と指導、監査、適時調査が密接不可分の関係にあることを理解していただくために、「審査の流れと再審査請求の重要性」、「指導の種類、カルテ記載の重要性」などについて紹介してきました。今回は、シリーズの最後として「適時調査」について紹介します。

適時調査とは-届出事項の現場での確認作業

「適時調査」という言葉は、「基本診療料(特掲診療料)の施設基準等及びその届出に関する手続の取り扱いについて(以下では、『基本診療料(特掲診療料)の施設基準等・通知』と略称)」の保医発・通知の中に出てきます。該当するのは、『基本診療料(特掲診療料)の施設基準等・通知』の「第3届出受理後の処置等 3 届出を受理した保険医療機関については、適時調査を行い(原則として年1回、受理後6ヶ月以内を目途)、届出の内容と異なる事情等がある場合には、届出の受理の返還を行うなど運用の適正化を期すものである」というものですが、元となる『基本診療料(特掲診療料)の施設基準等・通知』がどういうものか理解する必要があります。

診療報酬点数は、「厚生労働大臣が定めた施設基準に適合している地方厚生局長に届出」した場合に限って算定できるものがいくつかあります。特に入院基本料は、全て施設基準を満たして届出をする必要があります。また、入院基本料加算、特定入院料の大部分も届出が必要とされています。特掲点数についても、例えば疾患別リハビリテーションや手術等の診療報酬を算定するについて、施設基準を満たして届出をする必要な点数項目が多数あります。

それぞれの点数項目別に、届出に関する「施設時基準」が設けられていますが、“届出の手続方法や届出後の措置”について、一括して規定しているのが『基本診療料(特掲診療料)の施設基準等・通知』です。この中で、“厚生労働大臣が定めた施設基準を満たしているかを、原則年1回届出後6ヶ月を目途に実地に確認をする”作業が、『適時調査』です。実施主体者は、届出を受けた地方(近畿)厚生局長となります。

適時調査の実際-書類点検とラウンドで細部にわたる指摘

次に、“原則年1回届出後6ヶ月を目途”としている適時調査が、大阪では実際にどのように行われているか、具体的な事例を元に紹介していきます。

約200床の外科系病院の例。

実施日の3週間前に、「適時調査」の通知が届く。

実施日1週間前までに、病院の概要・組織図・平面図・許可病床数・医師数・入院基本料等・平均入院患者数・平均在院日数等の「事前提出資料」を提出。

これらの事前提出書類に加え、当日は看護部管理・病棟管理日誌、看護手順、勤務割表、外出・外泊簿、付添基準、院内感染防止対策・医療安全管理体制・褥創対策の委員会規定及び議事録等の「1.入院基本料に関する書類」、提供食数(日報、月報)、食事せん、献立表、入退院簿、食料消費日計表等の「2.入院食事療養に関する書類」、「3.その他」として基本診療料及び特掲診療料の施設基準当に関する書類一式、出勤簿等の準備・提出が求められます。

近畿厚生局からの調査官は、看護師1、事務官2の計3名で、調査時間は午後1時30分から午後4時30分ころまでの約3時間。

初めに、近畿厚生局側から「適時調査の目的の説明」と担当者の紹介、病院側の出席者の紹介があった後、すぐに『調査』に入る。

調査は、近畿厚生局の3名がそれぞれの持ち場(分担)を決めており、看護師A氏はすぐに病棟~栄養課のラウンドを開始し、各病棟でカルテや看護記録はもちろん、各種帳簿の点検・質問をし、その後会議室に戻り当日準備資料を点検。事務官B氏は主として手術・麻酔管理・疾患別リハビリ・薬剤指導管理の部分を担当し、事前提出書類・当日準備資料の「書類点検」を行った上で、該当する手術室、リハビリ室、薬局、院内掲示等をラウンドし確認し、会議室に戻再び書類上での確認。C事務官氏は主として院内掲示と書類の点検を担当し、入院基本料・入院食事療養の掲示確認、入院診療計画・カルテの保存や開示に関する規定等を書類上で確認したうえで、該当箇所のラウンドによる点検。

適時調査後は、改善報告書・自主返還の実務が…

各調査官は書類上の確認、ラウンドによる点検で不備な点についてはその都度「口頭での指摘」を行い、およそ4時過ぎに調査は終了。その後20分程度の時間を取り、担当者の間で「まとめ」を行い、最後に病院側担当者を前に口頭で「全体講評」を行うと共に、およそ1ヶ月後に『指摘事項を文書で通知する』、旨が告げられ当日の適時調査が終了となります。当然のことながら指摘事項については、1ヶ月以内に「改善報告書」の提出が求められます。

紹介した事例は、約200床の病院に対し、調査官3名で調査時間は午後1時30分ころから約3時間でした。近畿厚生局に移管した当初は、大規模病院に対しては午前10時ころから午後5時ころまでという例も見られましたが、最近の事例では病床規模に関りなく午後1時30分ころから約3時間となっており、病院規模の調整は調査官の員数で変化している傾向がうかがわれます。

適時調査による書類及びラウンドによる点検・確認は、細部にわたって行われます。適時調査で、施設要件を満たしていないことが発覚すれば、要件を満たしていない時点まで遡って「施設基準の届出辞退」をし、場合によっては『自主返還』を求められることもしばしばあります。中には、「個別指導」に移行する場合もあります。したがって、医師・看護数、夜勤72時間、専従・専任要件等の診療報酬上届け出た『厚生労働大臣の定めた施設要件』を日常的に点検しておく必要があります。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 102:2011年9月15日号に掲載]