審査と個別指導・監査、適時調査について

個別指導の実際

前回は、監査と指導の違い、指導の種類、個別指導の選定基準について紹介しました。今回は、指導の実際から指導後の措置について紹介します。

指導日前―通知からカルテ指定まで

選定基準に照らして指導対象医療機関をリストアップし、選定委員会で保険医療機関を選定すると、いよいよ「個別指導」が具体的に動き出します。ここでは、病院に対する既指定医療機関に対する通常個別指導を中心に紹介していきます。

対象医療機関が決まった(選定された)ら、近畿厚生局長名で「近畿厚生局と大阪府との共同による社会保険医療担当者の個別指導について」(通知)が、医療機関の開設者宛に送付されます。発送時期は、個別指導実施の3週間前で、通知書には指導の目的、日時、指導場所等が記載されています。

前文として、“健康保険法第73条はじめ医療保険各関連法・条文”ほか個別指導の根拠を明らかにすると共に、“正当な理由がなく個別指導を拒否した場合は監査を行う”ことが明記されています。

「目的」は、“療担規則等をさらに理解していただき、保険診療の質的向上及び適正化を図る”としています。指導の場所は、診療所の場合は近畿厚生局が入居している「大江ビル」ですが、病院は対象の医療機関となり指導技官他担当者が、病院に出向いてくることになります。

指導日1週間前までに「医療機関の現況」の提出が求められます。「医療機関の現況」では、医療機関の概要・組織図・平面図、職員数・保険医・看護師等の概要、入院患者数などが求められます。加えて、「当日準備書類」としてカルテ・看護記録・リハビリ記録・画像診断記録等、材料・薬剤等の購入伝票、領収証の控え、看護・施設基準に係る届出書類、薬剤管理指導記録、食事・寝具に関する書類、院内感染・医療安全・褥創対策関連資料、保険外負担一覧-等が求められます。このうち、カルテ等については指導4日前に15名、前日に15名の指定があり、当日は30名のカルテを中心に点検・指導が実施されることになります。

いよいよ指導当日

いよいよ指導当日。午前10時ころから午後5時が目安となります。近畿厚生局と府の国保・高齢者医療の技官を始めとする担当者が病院規模により5~10名程度が、病院に乗り込んで(?)きます。病院側は、開設者・管理者・勤務医師、看護・薬剤・給食・リハビリ・請求事務等関連する部門の責任者や担当者が出席することとなります。府医師会と地区医師会の担当理事等の立会人として同席のもと、事前に通知でもあった「指導の根拠・目的」が告げられます。続いて、行政側・病院側、立会人の紹介が行われた後、個別指導が始まります。

ここからは、看護・薬剤・給食・リハビリ等それぞれ専門担当者が事前提出書類・当日準備書類についての「事務的事項の確認」が行います。一通り各分野の書類点検が終了すると、各現場でのラウンドが行われます。例えば、技官である医師・看護師の担当者は病棟に出向いて、カルテや看護日誌等の記載内容の点検、栄養課へは栄養士または事務官によるラウンドで食数や特別食加算の要件、栄養食事指導記録簿の点検等を通じて、「保険請求が妥当か」の点検を行います。各部門の手分けしたラウンドが終了すると、現場で点検した事項が妥当か、を準備資料に基づいて再点検をすることになります。

事務点検→ラウンド→事務点検が終了すると、いったん休憩となり行政側は別室で指導についてのまとめを検討することになります。30分程度後に、院長等病院担当者を前に、「カルテの様式、カルテの記載、診療内容、保険請求」等と、「自主返金」の項目について、口頭で「講評」されます。

指導の事後

指導当日、口頭で「講評」(指摘)された事項は、概ね1ヶ月ほど後に「社会保険医療担当者の個別指導の結果について」(通知)」として、当日口頭で講評された事項が「指摘事項」として、このうち、診療報酬の算定要件を満たしていないと指摘された事項については「自主返還に関する事項」として、「結果について」(通知)されることになります。

「結果について」(通知)が届くと、1ヶ月以内に指摘された事項についての「改善報告書」を提出する必要があります。また、「自主返還に関する事項」がある場合は、指摘された事項について過去1年間の全てのカルテを点検に該当項目について、支払基金、国保連合会に分けて返還内訳等を記載した書類を提出することになります。

なお、個別指導の「評価」は①概ね妥当、②経過観察、③再指導、④要監査の4区分とされていますが、大部分は②の経過観察となっています。経過観察は、概ね半年から1年にわたって、指摘された事項を中心に支払い基金・国保連合会の両審査会でついて重点的に審査されている、と認識する必要があります。したがって、指導後の請求に対する「増減点連絡書」について従前以上に内容を吟味し、医学的に不服のあるものについては必ず再審査申請をし、納得できるものについては以後の請求では控える必要があります。①の概ね妥当は、指導当日で指導は終了、③再指導は、概ね年以内に再指導が行われます。指導の中で「明らかな不正」あるいは、「著しく不当な」請求が発覚し、直ちに指導を中断し、日を改めて「監査」が実施されることになります。

前号で紹介したように、「指導対象にならない」注意がまず必要ですが、指導を受けても耐えられる「カルテ等の記載内容の充実」と、診療報酬上届出た事項に関する常日頃からの点検が必要になります。

次回は、診療報酬上届出た事項に関する「適時調査」について紹介します。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 101:2011年6月25日号に掲載]