審査と個別指導・監査、適時調査について 「増減点連絡書」は必ず内容を検討して

“保険診療を行うためには保険医療機関の指定を受け保険医の登録を行わなければならない。つまり、保険診療は公的制度に基づく契約診療であり、診療や保険請求を行うにあたっては、健康保険法をはじめとする事務取扱手続、療養担当規則、診療報酬請求手続等に関するルールのもとで制度が成り立っている”(保団連発行・保険医のための審査、指導・監査対策より)

保険診療は公的制度に基づく契約診療で、これらのルールに沿った医療が提供されているかを点検するのが、審査や指導・監査あるいは適時調査です。したがって、審査、指導・監査、適時調査は密接不可分な関係にあります。そこで、今回から数回に分けて審査、指導・監査、適時調査の仕組みや実施方法等について紹介させていただきます。

健康保険法で、「療養の給付に関する費用の請求があったときは…審査のうえ、支払うものとする」と規定しています。この「審査」と「支払」を担当するのが、健康保険法等のいわゆる「職域保険」は社会保険診療報酬支払基金「大阪支部」-(通称:支払基金)となります。また、「地域保険」である国民健康保険と後期高齢者医療を扱うのは「大阪府」国民保険団体連合会-(通称:国保連合会)です。

医療機関から提出されたレセプトが、療養担当規則等に定められたルールに合致しているか、保険診療上妥当かを審査するのが、審査委員(会)です。審査委員(会)は、医師会の推薦を受けた「療養担当者を代表する者」と健保連や国保連合会等保険者団体が推薦する(主として大学病院や公的病院等の勤務医)「保険者を代表する者」、「学識経験者(国保連合会は公益代表者)」(療担代表と保険者代表で経験の長い人および厚生局又は大阪府の技官である専任審査委員)で構成されています。

レセプトの受付は、診療の翌月1日から10日までとなっています。提出されたレセプトは、まず審査会の事務職員による事務点検-現在はオンライン等電子請求が9割以上となっているため、事務点検の大部分はコンピュータによるチェックが主な作業となっています。事務点検が終了したものから順次審査員による「審査」が行われます。審査期間は、7日間で審査開始日は、支払基金が概ね6日から、国保は9日からとなっています。審査は療担・保険者・学識の三者が合議により行う建前になっていますが、実際は7日の審査期間のうち前6日間を「一次審査」とし、一人の審査員が独立して審査を行っています。最後の7日目を「二次審査(合同審査会)」として、各委員が独立して審査し査定・減点等があった案件について「3者で合議しながら審査し、査定・減点等は審査委員会全体の合意」となります。

審査員は、概ね6ヶ月間同じ医療機関を担当する、自分の出身地区の医療機関を担当しない-のが原則とされています。

“先月まで認められていた検査が、今月から突然減点されるようになった”との相談が時々寄せられます。建前上、療担・保険者・学識の三者合議で行うことになっていますが、“実際の審査は一人で担当する”、ことで、審査員の判断基準に個人差が生じる。これが、“6ヶ月ごとに担当する審査委員が交代する”ことにより、“先月まで認められていた検査が、突然の査定・減点”につながるようです。異議申請で“減点した審査委員と面談したい”と申し入れても、応じられないのは「二次審査(合同審査会)」で「査定・減点等は審査委員会全体の合意」されているから、との理由によるものです。

審査会から届く文書として、「増減点連絡書」、「再審査等結果通知書」、「診療報酬相殺通知書」、「過誤・返戻通知書」等があります。

「増減点連絡書」は、医療機関から診療翌月に請求したものに対する審査の結果を知らせるものです。

これに対し「再審査等結果通知書」は、査定・減点に対する医療機関からの「異議申し立て=再審査請求」に対する審査会での再審査結果です。
「診療報酬相殺通知書」は、院外処方せんを発行している場合、“処方せんに基づいて保険薬局が投与した薬剤が医療機関のレセプトに適応する病名がないあるいは投薬量が多い場合等保険薬局の責任によらない薬剤点数等を減点する場合、処方せんを発行した医療機関から相当点数(金額)を相殺する”、との通知です。

「過誤・返戻通知書」の『過誤』は保険者からの異議申請を審査会が認めたものに関する通知。『返戻』は、患者の保険資格の誤りや診療内容の不明なものに関し、審査会から『請求したレセプト』を返してきたものです。

審査会から送られてきたそれぞれの『性格』を理解した上で、「通知書」に記載された診療行為・事由を正確に把握しカルテに基づき点検をし“医学的に不服”があれば再審査請求をする必要があります。

減点や過誤があるにもかかわらず漫然と同じような請求=診療を続けておれば、審査会から近畿厚生局に情報提供があり、場合によっては「個別指導」の対象にもなります。

なお、「返戻」については必要事項を訂正・付記するなどして再請求することになります。

(事務局参与・上田浩治)

記号凡例 (増減点箇所)

11 初 診
12 再 診
13 医学管理
14 在 宅
21 内 服
22 屯 服
23 外 用
24 調 剤
25 処 方
26 麻 毒
27 調 基
28 投薬その他
31 皮下筋肉内注射
32 静脈内注射
33 その他の注射
39 薬剤料減点
40 処置
50 手術・麻酔
54 麻酔
60 検査・病理
70 画像診断
80 その他
90 入院
93 診断群分類
97 食事・生活

(増減点事由)
1.診療内容に関するもの

A.療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないもの
B.療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの
C.療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と
認められないもの
D.告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの

2.事務上に関するもの

F.固定点数が誤っているもの
G.請求点数の集計が誤っているもの
H.縦計計算が誤っているもの
K.その他

[勤務医ニュースNo. 99:2011年2月15日号に掲載]