入院患者の管理・担当医の責任 入院患者の他科受診の扱いについて

入院中患者が『他医療機関の外来受診』をした場合の扱いが、4月改定で大きく変更されました。

そもそも、“入院中の患者に対する必要な医療は入院医療機関で提供する”-というのが基本的な考え方です。提供できない場合の『次善の策』として次のように規定されています。

「入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、入院医療機関以外での診療の必要性が生じた場合は、他の保険医療機関へ転院又は対診を求めることを原則とする」、と。

転院又は対診が不可能な場合に限って、他の医療機関への外来受診が認められることになります。このときの入院医療機関および他医療機関での診療報酬上の扱いが、4月改定で複雑に変更されました。

入院医療機関での入院患者が入院している病床(棟)により、大きくは1)一般病棟入院基本料を算定する場合、2)療養病棟入院基本料や回復期リハビリテーション病棟入院料等包括病棟の場合、3)DPC算定病棟の3つに区分され、それぞれ異なった扱いとなります。以下に、入院医療機関での扱いについて紹介します。

他医療機関受診の扱い

1)一般病棟入院基本料を算定する場合は、外来受診した日の入院医療機関の入院基本料は30%カットの点数を算定する
2)包括病棟の場合は、他医療機関で入院医療機関の包括部分に相当するものを、ア.算定しない場合30%カット、イ.算定する場合は入院料を70%カット、の入院料を算定することになります。更に、30%カットの場合は、他医療機関のレセプトの写しを添付する必要があります。
3)DPC算定病棟に入院する場合は、入院医療機関は入院料のカットはしないで他医療機関の行った医療も含めてDPC区分により算定することになります。この場合、他医療機関は、保険請求をしないで、入院医療機関に全ての医療費を請求することとなります。

上記1)?3)のいずれの場合も、他医療機関を受診する前提条件として、入院医療機関は@入院医療機関名、A算定する入院料、B受診した理由、C診療料?の4点を無償で情報提供する必要があります。他医療機関はこの情報により、保険請求をする範囲を判断することになります。保険医協会病院部では、1)?3)のそれぞれの入院患者に対応した『情報提供書』のモデルを作成し、ロードダウンして利用できるようホームページで紹介しています。
http://osaka-hk.org/

入院患者の対診-往診入院料は100%算定可

入院患者に入院医療機関で対応できない疾病が発生した場合、できるだけ『次善の策』としている対診-往診で対応したいものです。他医療機関から、入院患者に対いし往診を実施した場合他医療機関は、診察料(初診料または再診料)と往診料を算定し、病院内で行った検査や処置・手術等は入院医療機関が入院レセプトで算定することになります。この場合の入院医療機関での入院料は、1)~3)のいずれの場合でも100%算定できます。

入院患者の管理適時調査で指摘されるケース多い

医療法による立入検査、健康保険法に基づく適時調査や個別指導で、「外泊、外出簿」で指摘されるケースが多く見受けられます。入院患者の管理は、入院基本料算定の最低要件です。知らないうちに患者の家族が元の医療機関に出向いて薬をもらってきていた、ということがないようにしたいものです。

(事務局参与・上田浩治)

対象患者 入院料の算定方法
入院基本料等算定患者 入院料基本料等の基本点数の
30%減額する。
特定入院料等算定患者 外来医療機関が特定入院料等に包括されている点数(特掲診療料)を算定する場合 特定入院料等基本点数の70%減額する。
外来医療機関が特定入院料等に包括されている点数(特掲診療料)を算定しない場合 特定入院料等基本点数の30%減額する。
DPC算定病棟入院患者 DPCを算定しない患者 外来医療機関で行った診療費用を含めて入院料の規定により算定する。入院料は減算しない。
DPCを算定する患者 外来医療機関で行った診療行為を含めて診断群分類を決定し入院料を算定する。入院料は減算しない。

[勤務医ニュースNo. 98:2010年12月15日号に掲載]