診療録の書き方のポイントと注意すべき事項②

今回は、『診療録の書き方のポイントと注意すべき事項』の2回目として、病名の転帰、診断根拠・指導内容等「個別指導」で指摘された事項を紹介します。

個別指導は、事務官による「事務点検」の後、技官が持つ「事前に通知されたカルテに相当するおよそ約半年前の連続する2か月分のレセプト」をもとに請求した根拠を、カルテでの説明を求められます。

病名の転帰、診断根拠を指摘された具体例

通常はまず、レセプト記載された病名とカルテの病名が一致しているか、の点検から始まります。

カルテに沿って医事課職員がレセプトを作成するとき、投与薬剤や実施した検査の適応病名がカルテに記載されてない場合、減点や返戻を防ぐ意味でついつい“勝手に”病名をつけてしまうことがあります。指導の場でのレセプトとカルテの突合で、カルテにない病名がレセプトについていると、『カルテとレセプトの病名不一致がある』、『レセプト提出前に必ず医師が点検すること』等の指摘を受けます。場合によっては、「適応病名なし」で自主返還を求められることもあります。また、感冒や急性腹症等急性疾患、感染症が数ヶ月にわたって続いているレセプトも問題とされます。レセプトを作成後、提出前には担当医がカルテとの突合せ点検をすれば、これらの問題は解決します。

病名については、『疑い病名は、疑うに足りうる確実な医学的根拠に基づいたものをつけること』、『症状・所見・治療計画の記載を充実すること』、『傷病名は1病名1行ですること』、『傷病の転帰をすること』、あるいは、『症状名は極力避けること』等の指摘を受けるケースが多く見受けられます。

例えば、病名として「インフルエンザ(疑い)」の病名をつけた場合、カルテの様式一号の2の「既往症・原因・主症状・経過等」の欄に、“昨日から38度以上の高熱、鼻汁・咳あり、関節痛、下痢症状”等、インフルエンザの感染を疑がった根拠が記載されているか、が問われます。また、同紙右「処方・手術・処置等」欄には、「尿一般、沈渣、インフルエンザ精密」等の検査と結果の記載が記載されている必要があります。インフルエンザ精密の結果が(-)であれば、カルテ表紙に戻って「インフルエンザ(疑い)」は同日付で『転帰』は「中止」とし、新たに同日付で確定病名として「感冒」等の病名をつけることになります。当然カルテ2用紙には、感冒に対するPL、ダーゼン等の処方がされているはずです。

他にイレントゲンフィルムや内視鏡写真、心電図等他の理化学的検査により、確定した病名が妥当か否か、投薬等の処置が妥当か等の点検を受けます。

指導内容等記載漏れは自主返還の対象にも

『病名』に関する指導に続いて、診療報酬の算定要件が求められる記述の確認も行われます。以下に、『診療報酬の算定に記載が義務付けられている事項』で、個別指導で指摘された内容と特に注意すすべき事項を紹介します。

※は指摘事項、▼は指摘に対するコメント

※乳幼児育児栄養指導料の算定に際し、診療録に指導内容の要点記載が乏しい
※特定薬剤指導管理料の算定について、薬剤の血中濃度、治療計画の要点の記載が不十分
▼特定薬剤治療管理料の算定については、対象薬剤と対象病名が一致していること、月1回以上の血中濃度測定が実施され、これに基づいて投薬料を決定したことの記載が求められます。併せて、レセプトには原則として、初回算定日の記載が必要となります。
※難病外来指導管理料は厚生労働大臣の定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った時に算定できる。算定においては、診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載すること
▼一人の患者に対し、難病外来指導管理料を算定する月と特定疾患療養管理料を算定する月がある場合、1回受診の月は難病で、2回以上の月は特定疾患というように-診療報酬上有利な算定をしていると、審査上、査定・減点を受ける場合があります。
※皮膚科特定疾患療養管理料は、厚生労働大臣の定める疾患に罹患している患者に対して、計画的な医学管理を継続し、かつ、療養上必要な指導を行った場合に算定できる。診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載すること
※特定疾患療養管理料は、厚生労働大臣の定める疾患を主病とする患者に対し、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に算定できることに留意すること
※前立腺がんの患者に対し、悪性腫瘍特異物質治療管理料と特定疾患療養管理料を併算定している患者に対し、「いくら生活指導を実施していてもカルテに記載していなければ算定できない」と指摘された
※集団食事指導の算定に関して、食事指導の指示内容を診療録に記載すること
※外来栄養食事時指導の算定における管理栄養士に対する指示事項は、患者ごとに適切なものとするが、少なくとも熱量・熱量構成、蛋白質量、脂質量・脂質構成についての具体的な指示を含まなければならないことを留意すること
▼栄養食事指導については、医師からの「食事指導指示せん」の有無が問題とされます。必ず、カルテに控えを添付するようにしていただきたいものです。
※外来迅速検体検査加算をした場合は、「検査結果によりこのように治療計画を変更した」旨の記載をすること

診療報酬算定の要件として「診療録への指導内容等の記載」が義務付けられていることでの「指摘」の、一部を紹介させていただきました。他にも多くの点数で、カルテへの記載が義務付けられているものがあります。また、食事指導指示せんや診療情報提供料等発行した文書の控えをカルテに添付することが義務付けられています。
今一度、診療報酬点数で確認されることをお薦めします。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 97:2010年10月25日号に掲載]