診療録の書き方のポイントと注意すべき事項①

カルテに関する法律と保存、基本的事項

診療録-いわゆるカルテの記載は、医師法と健康保険法の『保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)』で規定されています。

医療法第24条では、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と規定しています。また、同条第2項では「病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない』としています。

療担規則では、第8条で「…診療録に療養の給付の担当に関して必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければならない」と自費診療カルテ等と保険診療のカルテを区分することを定めています。また、同9条では「保険医療機関は療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から3年間保存しなければならない。ただし患者の診療録にあってはその簡潔の日から5年間とする」としています。

カルテの保存期間は「完結の日から5年間」となっており、診療継続中の患者のカルテに関しては、初診日が5年以上前でも処分することはできません。①死亡して5年以上経過したもの、②遠隔地に転居して再び受診する見込みがなくなって5年以上経過したもの-以外は処分できないと考えたほうが良いでしょう。

労務不能に関する意見欄、備考欄に留意

さて最近、診療所では「新規開業個別指導」等で、病院では「適時調査」等カルテの記載について、近畿厚生局の技官等の点検を受ける機会があります。これらの機会に「カルテ記載に関して指摘(注意)」を受けたことを中心に、「診療録の書き方」について紹介していきます。

まず、療担規則で定められた「様式第1号」の要件を満たしているか、が問われます。(見本)特に、『診療録に、労務不能に関する意見欄』あるいは、『備考欄』がないものが時々見受けられます。これら、様式見本と異なるカルテを使用している場合『定められた様式に順じたものに改めること』と注意されます。

記載に関する基本的事項としては、カルテは『診療の都度、医師自らが遅滞なく必要事項の記載を行うこと』、『保険請求の根拠となるものであることを認識し、必要事項の記載を充実するとともに、第三者にも判読できるよう丁寧な記載に努めること』などの指摘を受けています。丁寧な記載と併せ、『記載は必ず黒又は青色のインク又はボールペンを用い』、図示などのための色鉛筆の使用は認められますが、『鉛筆』での記載は認められません。記載内容の『訂正は、修正液等使用することは適当でなく、二重線で抹消する』ことも指摘されます。

病院では一人の患者を複数の医師が担当することがあります。この場合、『診療録への記載の都度、署名または記名・捺印するなど、責任の所在を明確にする』必要があります。

『保険と自費のカルテを区別しているか』も、「混合診療」との関係で問題となります。

慢性疾患等で、長期に療養をしている患者の場合、カルテが厚くなり、更新する場合には『継続患者のカルテを更新するときは、サマリーを記載すること』も必要です。

検査記録や処方せんの控え等をカルテに貼付する場合、『ベタ貼りではなく上部又は左、右の一辺のみの糊付け』にするよう指摘されます。また、『保険証のコピーはカルテに貼付しないで、ほかに保管する』ことも指摘されます。

電子カルテを使用している場合は、必ず『施設の管理者は運用管理規定を定め、これに従い実施』することが求められます。

カルテは、“診療報酬請求の原簿であり、指導・監査等の際の提出書類である。併せて、増加している医療事故の際の証拠書類”であることを再認識し、まずは『様式、保存』等基本的事項から再点検をしていただければ幸いです。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 96:2010年9月15日号に掲載]