「保険医」の登録をお忘れなく

はじめに

勤務の先生も、病院などで「保険診療」を担当されることが前提となります。そこで、勤務医レターの紙面をお借りして、「勤務医にも必要な保険診療の基礎知識」を連載させていただきます。“当たり前”のことで、ご存知のこととお叱りを受けることがあるかもしれませんがお付き合いください。

アルバイト先できっちり「保険医登録」されてますか?
医療を行うには、「医師免許」が必要になります。医師免許は、医学部を卒業した後医師国家試験に合格すると、厚生労働大臣名で「医師免許証」が交付されます。医師免許証が交付されれば、「医師法」に規定される“医療行為”を行うことができます。この時注意が必要なのは、「医療行為を行うことができる」のは特別な場合を除いて、「医療法で認められた場所」に限られます。医療法で規定する医療施設とは、歯科を含む「診療所」及び「病院」と「老人保健施設」、「助産所」となります。これに加えて、「居宅」での、医療が認められます。学校や会社に出向いて「健康診断」等を行う場合がありますが、この時は建前上、「臨時医療施設」の許可を受ける必要があります。

例えば新幹線の車内で「急病人が発生しました。医師又は医療関係の方は乗り合わせていませんか」などのアナウンスに遭遇した経験をお持ちの先生もあると思います。あるいは、交通事故の現場に遭遇した-など、『緊急に救急救命が必要な場合』は、医療法の規定する場所以外での医療行為も認められます。更に、医師法による「医師免許証」を持たないものでも、医療行為を行うことができます。
さて、余談が長くなりましたが、日本は国民皆保険でほとんど全ての診療所、病院とも「保険診療」を扱っています。

保険診療」を扱うには、健康保険法に基づいて「保険医療機関」の指定を受ける必要があります。更に、「保険医療機関」で保険診療を担当するのは、「保険医」の登録をした医師に限られます。「保険医療機関」の指定は、先に紹介した医療法で許可を受けた施設で1ヶ月以上の実績を持って地方厚生局に申請すれば、特別の事情がない限り「指定」されます。

他方、「保険医」の登録に関しては、「医師免許の交付」を受けるとともに、保険医登録ができ住居地の地方厚生局に登録をされている場合が多いと思われます。平成16年の医師法改定で、「診療に従事しようとする医師は、2年以上の臨床研修を受けなければならない」とされました。これにより、2年間の臨床研修を終了しない医師は、特別な場合を除いて「診療所の開設することができない」。また、「病院・診療所の管理者となることができない」とされました。

「保険医療機関」の指定を受けた医療施設で、「保険医」の登録医師が行った場合に限って、「保険診療」となります。臨床研修中は、「保険医療機関の指定」を受けた研修病院で、改めて「保険医登録」をする必要があります。通常は、2年以上の臨床研修を終了した段階で「正規の勤務医」として、就職することになります。したがって、就業した病院等保険医療機関での「保険医登録」が改めて必要になります。場合によっては、ある病院で「正規の勤務医職員」として働きながら、他の診療所や病院でパートとして働く機会も多々あります。このような「パート・アルバイト」で勤務する医療機関でも、「保険医登録」が必要になります。これらの場所で、うっかり「保険医登録」を済ませていないとせっかく行った診療が「保険診療」ではなく「自費診療」になってしまいますので、ご注意ください。

(事務局参与・上田浩治)

[勤務医ニュースNo. 95:2010年6月15日号に掲載]