どこまで行くのか医療崩壊

東淀川区 牛尾整形外科
牛尾 一康

 まだ開業してから2年に満たず、悪戦苦闘の日々が続いています。勤務医からの新規開業で、ゼロからのスタートでした。ここまで来ることが出来たのも、スタッフをはじめ周囲のみなさまの応援があったからこそと、感謝しています。周囲を見渡せば、大学教授が論文捏造で懲戒免職、大学教授が大学を訴える、診療行為で医師が逮捕される、常勤医の不在で診療休診・閉鎖、小児科医が過労自殺、と、ひょっとしたら、従来からもあって知られずに終わっていた様なことが広く知られるようになっただけのことなのかも知れませんが、「医療崩壊」はどこまで行くのかといった状況は周知のとおりです。このような中で、勤務医として安穏と定年をむかえられる時代でもなくなっていると思いますが、開業医もさらに厳しい状況に置かれていると思います。診療以外の事務仕事等(ひょっとしたらこちらのほうが大切なのかとも思います)が山積みで、“勤務時間”は勤務医の時とほとんど変わらず、収入は半減で、今までのところ、1ヶ月に3日はなんとか休みを確保している生活です。各種団体等の主催する研修会には、出来るだけ積極的に参加するように心がけていますが、いつも、一見非常に高齢で見るからに足元がおぼつかないような開業の先生方をお見かけします。それらの先生方の年代は、先の太平洋戦争に軍医として戦地に赴き、想像を絶する幾多の試練を乗り越えてこられた年代であることに思いをいたすと、あそこまで継続することが出来る原動力はなんだろうか、と考えさせられます。初詣など神社仏閣にいって神前に祈る時、みなさんは何を唱えられますか。学業成就、家内安全をお願いする前に、まず、これまで大きな怪我病気もなく(あったとしても)無事過ごして来れたことを、感謝すること、が大切なようです。とりとめのない内容になってしまいましたが、何かの参考になれば幸いです。

[勤務医ニュースNo. 77:2007年4月15日号に掲載