認知症ネットワークについて―後編

阪南病院
西側 充宏

堺市の認知症対策の取り組みと阪南病院での役割について

前回に引き続き認知症を支えるネットワーク作りについて、今回はわが町、堺市での取り組みとその中での阪南病院の活動をお話します。
堺市では、高齢者および認知症患者さんが地域で安心して暮らせるように環境や地域ケアシステムの整備を行なっています。地域包括支援センターを中心に、関係機関がさらに緊密に連携し地域密着型のサービスとそのサービス提供体制の構築を図っています。「高齢者および認知症患者さんを地域で支えるために積極的な訪問看護、訪問介護を行い、ネットワークを作ってさらにお互いに情報の交換や協力をしながら治療技術、対応力のスキルアップをはかる」というところまでシステムは整備されつつあります。
堺市は全国でもめずらしく認知症疾患医療センターが2ヶ所(浅香山病院と阪南病院)あり、お互いに協力しながらネットワークの充実を図っています。医療と介護の連携で、より一層効果的に高齢者の在宅生活を支援することが可能となりますので、堺市では医師会が協力し、多職種が参加する「堺市における医療と介護の連携をすすめる関係者会議(いいともネットさかい)」を通じて、医療と介護の一層の連携を強化しています。
また、主治医、ケアマネジャーなどとの多職種協働や、ケアマネジメントの後方支援を目的とし、ケアマネジャーなどに対する指導・相談の受付、支援困難事例への指導助言などを「連絡会」「ケースカンファレンス」として年間1000回以上(平成22年度)行っています。そのほかにも紹介しきれない活動はたくさんあり、堺市はこうした行政の動きが活発で全国的にもレベルの高い認知症ネットワークが出来つつあると思われます。

阪南病院の役割はそのなかで、認知症疾患医療センターを設けて認知症外来を行い、①『認知症の鑑別』、②『重度BPSD認知症患者さんの治療連携』を軸に月平均33人前後の鑑別診断を行なっています。そういった実際の治療連携の他にも対応力・診断治療の向上を目指して、③『かかりつけ医のスキルアップ研修』を年に1回行なっています(平成24年度は12月15日開催「若年性アルツハイマーについて」)。また、市民に対しての正しい知識の啓発をするため、④『認知症に関する一般講演』やイベント会場において当院認知症治療病棟のスタッフによる⑤『認知症患者さんの具体的な対応の実演(劇団名「すまいる」)』も行なっています。
これからもさらにスキルアップとネットワークの充実にむけて頑張りたいと思っています。

[勤務医ニュースNo. 111:2013年3月15日号に掲載]